手相を見てやると言ってきた受けにしばらく手を掴まれていた攻め。その手のひらの温もりや指の感触が一日中頭から離れなくて、掴まれた方の手だけがずっとぽかぽかしていた。

知人と話していたら唐突に「好きな奴はいるのか」と話題を振られた攻め。たまたま近くにいた受けに反射的に目を向けてしまって、しまった、と思っても既に手遅れだった。

受けが背にしていた棚に用があり近づいて手を伸ばしたら、「うわっ」と突き飛ばされた攻め。しばらくショックで呆然としていたが、そういえば走り去った受けの耳が赤かった気がする。

押し倒した受けの手首を縛った攻め。何の冗談？と顔を引きつらせている受けを見下ろして、おふざけなんかじゃないことを嫌と言うほど思い知らせてやろう、と暗い興奮に喉奥で笑う。

スケベな話を見聞きすると必ず受けと自分に当て嵌める攻め。片思いの頃は虚しい願望だとため息をついていたが、今は大抵のことは実行に移せるのでかえって有難い。

受けを自室に泊めた後は、このまま受けを部屋から出したくないと思う攻め。己だけを待って、己だけが触れられる受けになってくれたらどんなに良いだろう。